“女の子なのにプログラマーって珍しいね”
“パソコン得意なの?”
“休みの日は何してるの?”
“そうだね、よく言われる”
“まあ、普通の人よりは得意だと思う”
“ゲームしたり音楽聴いたりかな”
質問には卒なく答えた。性別以外に嘘はないから答えるのは大して難しくもなかった。
“っていうかこんな可愛い子が来るなんてマジでテンション上がる!”
フツメンの一人はこんな事を言い始めた。
全員に向けて言うならいいけれど俺だけに言ったら他の女子が気を悪くするとか考えないんだろうか。でもこんな風に褒められて嫌な気はしなかった。
この時の俺は女の子になりきっているから“可愛い”綺麗、美人”といった言葉はどんなものでも嬉しかった。
ああ、女の子は褒められて綺麗になるんだなというのが分かる気もした。
俺は少し気分が良くなって、上に着ていた服を一枚脱いだ。
盛られた胸元が露わになると、フツメン2人の視線を胸に感じる。
本当に俺を女として見ているんだ、と思うと妙な高揚感を覚えた。
フツメン2人と俺がこんなやりとりをしている間、征哉は他の女子との会話に花を咲かせていた。といっても女子2人が一方的に征哉を質問責めにしているという感じだったけれど。
それでもやっぱりイケメンの余裕なのか、愛想の良い笑顔を絶やさず対応している。
そういうところがさらに女性の好感度を上げるのだろう。男としての俺も見習いたいところである。
と、それなりに合コンも盛り上がっていた時だった。
不意に視線を感じた。その先に目をやると征哉と目が合う。
彼は笑みを浮かべるでもなく、何かを考えるような表情でじっと俺を見ていた。思わずドキッとする。
恋愛的なものではない。身構えるような胸のざわめき。何というか、俺の心の中を覗かれているような気がしたのだ。
でもそれはほんの数秒の事で、彼はまた女子2人との会話に戻った。俺はホッとした。
そうしているうちに合コンもお開きの時間となる。
仕切り役のA子が“連絡先交換するなら今だよー!”と呼び水を与えた事でラインの交換会が始まった。
当然女子2人は征哉にラインを聞き出していた。
そして俺はフツメン2人にラインを聞かれた。男に興味はないけれど、断るのも白けるだろうし交換した。
そんな時だった。
「ねぇ、ハルちゃん。俺もライン聞いていい?」
フツメンに乗じて征哉が俺との連絡先交換を求めた。
ほとんど話をしてないのに何故?と思ったけれど、もしかして密かに俺は狙われていたのだろうか。
だとしたら俺はこのイケメンにも通用する美人なのだと、ちょっと嬉しくなって彼とも交換に応じた。
今回、初めての女装しての合コンで得た事。確かにA子の言う通り、男性と接して褒められる事で嬉しさも感じたし、女子として見られる事に高揚感も覚えた。
だからと言って恋愛対象が男になるわけではないけれど、たまにはこうやって男性からチヤホヤされるのも悪くないなと思った。
合コン解散後。早速フツメン2人からラインが届いた。
“今日はありがとう!今度一緒にメシでも食いに行こうよ!”
“ハルちゃんみたいな可愛い子と話出来て嬉しかったよ。デートとか出来ると嬉しいな”
二人とも俺が女だと完全に思い込んでいる。
少し罪悪感を感じた。女装しての合コンはその場だけで楽しむものであって関係を長引かせるものじゃないな、とも思った。面倒だったので、“そうだね”とだけ返した。
そうしているうちにもう一通ラインが来た。征哉からだった。
その内容に心臓が飛び出る思いがした。
“今日はあんまり話せなかったけど、一つ聞いていい?ハルちゃんって男だよね?”
合コンで目が合った時、もしかしたらあの時に勘付いたのかもしれない。ドキッとした予感は当たっていたのだ。また胸がざわつく。
[adinserter block=”5″]


今注目のSM出会い・SM体験談