
「じゃあ始めますね」
店主は私の顔にメイクを施し始めました。
実を言うと、鏡を見るのもあまり好きではありませんでした。
自分の顔を見るとどうしてもあの動画が脳裏を過ぎるからです。
けれど店主がメイクを施していくうちに、自身の顔が女性らしく変わっていくのを実感します。
40分ほど経つと鏡の向こうには私の面影はありつつも別人の女性がいました。
「後はウィッグと衣装着けましょうか」
と、頭にはセミロングのウィッグ。そして清楚な印象のワンピースを着せてもらいました。
「スゴい!よく似合ってる!!」
アユミさんが私の姿を見て声を上げます。
「初めての女装の感想はどう?」
「自分じゃないみたいですね。でもなんか、こういうのもワクワクしますね」
当たり前ですが、初めての感覚でした。
興奮するとまでは言わないけれど、高揚感がありました。

先輩との出来事以来、鏡で自分の顔を見るのは苦手でしたが女性としての顔ならまじまじと見る事が出来ます。
なんだか過去の自分を脱皮して新しい人間に生まれ変わったような感覚でした。
この日から私は女装にハマりました。
定期的に女装サロンに通い女装してもらいつつ、自分でも女装メイクを覚え自主的に女装を楽しみました。
不思議と性欲も蘇り、女装姿でならアナルオナニーが出来るようにもなりました。
まさか40歳過ぎて女装を体験してしまうなんて考えもしませんでしたが、この体験こそが私の人生を好転させたのです。
「ねぇ、女装バーで働いてみない?」
そう言われたのは、女装を覚えてから1年程経った頃。アユミさんからのお誘いでした。
女装子歴1年でしかも40過ぎの中身はおっさんでもいいのかと思いましたが、
“濃い人生を経験している方が人間として魅力的だから”
と言ってもらえた事。
そして住まいも用意してもらえるという事で私は女装バーで女装子として働く事になったのです。
今では過去の事も笑い話に出来るまでになり、男性にも女性にも女装子にも人気のキャストに。
女装子にしては遅咲きのデビューではありますが、私は今、人生で最高の時間を過ごしています。
ところでなぜアユミさんがここまで熱心に付き合ってくれるのか、私にはわからなかったのですがどうやら男に女装をさせるのが趣味の女性だったようです。
女装の見込みがありそうな男に声をかけていたそうで、私が目に留まったとの事でした。
ちなみにこれはだいぶ後で聞いた話ですが、私の心に響いたアドバイスも女装に仕向けるために適当にもっともらしい事を言ったそう。
けれど、私にはそんなでたらめな言葉でも結果的に救いとなったのでした。




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