無職で人生のどん底
36歳で無職、しかも家なし。
当面の間生活できる程度の貯金はありましたが、働く意欲は完全に失っていました。
この頃の私はまさに“生きながら死んでいる”という言葉がピッタリ当てはまるような毎日でした。
ネカフェで生活をして、日に日に貯金が目減りしていく不安と恐怖に苛まれる日々。
仕事を探さなければと思うものの、また明日…また明日…と引き伸ばし、何もせずに堕落した一日が終わります。
でも結果的にこの何もしない日々が良かったのかもしれません。
少しずつ、胸の中のモヤモヤとした霧が晴れていくような感覚を覚えました。
失業してから一年近く経った頃でした。
この辺りでようやく“生きる”気力が沸いてきたのです。
とはいえいわゆるネット難民をしている40歳手前の私に正社員で働けるような職はありません。それでも個人経営のコンビニや飲食店のアルバイト、日雇いの仕事なら割とスムーズに見つかりました。
とにかくこれ以上は貯金を減らしたくない、借金はもうこりごりだ、という思いからなるべく職種には拘らず働きました。
ただし、寮付きの職場ではどうしても働く気にはなりませんでしたが。
もしかしたらまた嫌な目に遭うかもしれない。そんな不安はありましたが、寮での暮らし以上に辛い事などありませんでした。
時々悪態を吐かれる事くらいはあるけれど、私にもう借金はありません。
本気で嫌になれば辞めればいいという逃げ場があるだけで精神的負担はかなり軽減されたのです。
救ってくれた一人の女性

生きる気力が沸いてくると、そして新しい仕事に向き合っていると、過去の自分が段々と他人事のように思えてくるようになりました。
それと同時に過去の話を誰かに聞いてもらいたいという思いが湧いてきました。
ちょうどこの頃、40歳を迎えたというのもあります。
その節目に自身の半生をアウトプットしてみたいという衝動に駆られたのです。
そんな思いを遂げるのに匿名で使えるSNSはもってこいのツールでした。
私は今、こうやって書いているのと同じように借金の事や寮の事、先輩との事や動画の事、そして現状などを匿名で書き綴りました。
すると一人の女性からメッセージをもらったのです。アユミという女性でした。

“壮絶な半生がある人ほど強いよね”
私はこの言葉に心が揺さぶられました。
今まで強いなどと言われた事などなかったし思った事もなかったからです。
強い励ましをもらったような気がしました。
これをきっかけに彼女とのメッセージのやりとりが始まりました。
最初は当たり障りない話でしたがその内容は徐々に性的なものになっていきました。
“今はもう男とのセックスはしたいと思わないの?”
“そうですね、絶対にしたくないです”
“やっぱりセックスするなら女の子がいい?”
“うーん…頭ではそう思ってるんですけど、正直今は女の子への性欲もなくて…”
“じゃあどうやって性欲発散するの?オナニー?”
“実はオナニーももう何年もしてなくて”
“えっ?なんで?”
“オナニーしようとすると動画の自分を思い出してしまって。気分悪くなるんです”
“ああ、男なのに男とセックスしてる姿が気持ち悪くて?”
“そうですね”
“でも女の子にも性欲が湧かないって事はもしかしてチンコよりアナルが欲しがってるって感じなのかな?”
“まさにそうです!”
“じゃあいっその事、女の子になってみたら?”
“えっ?”
アユミさんと話していると、胸の中のわだかまりがポロポロと落ちていくような感覚がしました。
自然と素直に悩みを打ち明けてしまう自分がいました。
けれど、“女の子になってみたら?”の提案に私の頭には疑問符が浮かびます。
“だって、アナルで気持ち良くなりたいのに自分が男だから拒絶してしまうって事でしょ?だったら女の子になればいいじゃない”
目から鱗な発想でした。
とはいえ、女装などこれまで考えた事もなかったのでその術が一切わかりません。

“女装サロンへ行けばいいよ。一緒に行ってあげようか?”
私は彼女の申し出に甘える事にしました。
女装子として新たな人生の一歩へ
数日後。
私はアユミさんと会いました。
私よりもいくらか年下で利発的な顔つきをしている女性でした。
私は彼女に連れられ、女装サロンへ向かいます。
雑居ビルの中の一室。
ドアを開けるとファンシーな空間が広がります。
「いらっしゃい」
と出迎えてくれたのはアユミさんと同じくらいの女性。
どうやら彼女と店主は顔なじみのようです。
「初めてって事だから似合いそうなメイクや衣装を見繕ってあげて」
アユミさんがそう言うと、店主は頷き、私を鏡台の前へ促しました。


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