3章:出会い

1日目は無情にも何の手がかりもなく終わってしまった。
時間も金も無駄にした。
ただただ、コンドームの箱だけが寂しそうにぽつんとシートの上に置かれていた。
普段から自然の中で過ごしてきた身からすると、キャンプをして癒されるとか、
そういった感情は一切なかった。
なんなら不便すぎるというスリルを味わうくらいしか楽しみがなかった。
「女もいねえ、ナンパもできねえ、露出女もいねえ、俺たちはいったい何をしている」
「焚火をみてぼーっとしてる。ついでに草むしり」
「ちょっくら散歩してくる。さすがに今日でケリつけねえとな」
2日目の朝のはじまりだった。
散歩をしていくと、ファミリー客らしきグループと出会った。
20代の女性と30代の男性と、10代の男性。
それと彼らの母親と父親だ。
俺は20代の女性に声をかけた。
「おはようございます。
このあたりで、カップラーメン買える場所ありませんか?ここに来たのは、はじめてで。
昨日もバーベキュー失敗しちゃってカロリーメイトしか食べてないんですよ」
これはマジな話だった。
まともに食べてないから腹も減っていた。
「この間まであったんですけど、今は故障中かなんかで・・・」
「はあ、そうですか。ありがとうございます」
「もしかして連泊してるのかい?だとしたら一度キャンプ場出て準備してきたほうがいいよ」
と母親は言った。
しばらくその場で話をさせてもらったところ、実は家出をした長女との思い出を振り返るためにここによく来ているらしい。
写真も見せてもらったがとてもきれいな女性だった。
家出をした理由は、婚約中だった男性に浮気をされたことらしい。
「死にたい」といってそのまま飛び出していったんだそう。
かわいそうな話だ。
「こんなきれいな女性がいて浮気するなんて信じられないな」
ただ、家族でキャンプなんてしたことなかった俺からすると親子でキャンプに来ているという日常が羨ましかった。
まぶしかった。
そして、事件がおきた。


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