「まずはこれに着替えてね」
と手渡されたのは血まみれのナース服。一瞬ギョッとしましたが、ハロウィンイベントを取り上げるニュースなどでこういう格好をしている女の子を見た事はあります。
確かにハロウィンらしいとは思いましたが、僕は男。何故ナース服?という疑問が浮かびました。
「これってナース服ですよね?女性が着るものなんじゃ…」
「そうよ、今日は女装してもらおうと思って。ハロウィンパーティーなんだからいいでしょ?」
僕が女装…?女装なんて初めての事だったので戸惑いました。でも…女王様がそれを望むなら拒否する事などできません。
僕は服を脱ぎ、手わたされた血まみれのナース服に袖を通しました。
「毛は…体毛薄いし大丈夫そうね」
ナース服に着替えた僕の腕や脚を見て女王様が言います。体毛が目立つようなら剃るつもりだったようです。
「じゃあ今度はメイクしていくからね」
女王様がメイク道具を手に言います。ここから数十分、僕は女王様にされるがままメイクを施されました。
「出来た!思った以上に可愛く仕上がったわよ。鏡で見てみる?」
「はい」
差し出された鏡を覗いてみると、そこには僕ではない僕がいました。
髪はアッシュグレーでボブのウィッグ。目の周りは少し前に流行った地雷メイクのような赤系のアイシャドーが塗られており、長いつけまつげが生えています。
頬や額、口元などところどころ血がついているものの、どこからどう見ても女の子。
自分で言うのもおかしいですが、普通に可愛いと思ってしまいました。

「どう?」
「本当に女の子みたいですね…ビックリです…」
「でしょう?あなた、顔の作りが薄いから女装が似合いそうって前から思ってたの」
女王様は満足そうに笑みを浮かべます。
「じゃあそろそろ行こうか」
どうやらこのカラオケルームには女装をするためだけにやってきたようです。
この後パーティー会場に向かうのだと思うと、僕は緊張と楽しみでドキドキしながら女王様と一緒に部屋を後にしたのでした。
複数の女王様の生け贄となった僕
カラオケボックスを出ると道行く人々の視線が僕へ集まります。
血まみれナースの女装をして歩いているのだから当然と言えば当然ですが、こんな風に人々から注目を浴びた事のない僕はいたたまれない気持ちになりつつも少し興奮を覚えます。
こんな事で歓んでしまうなんて…やっぱり僕はMなのだと実感した瞬間でもありました。
視線を意識しながら歩く事十数分、辿り着いたのはとあるマンション。
「今日はパーティーをするのにここのレンタルルームを借りてるの」
と、女王様はマンションの中へ入っていきます。
レンタルルームというのが分からなかったのですが、女王様によるとパーティーやイベント用にマンションの一室を貸し出すサービスがあるとの事。
そういうのもあるのか…と納得しながら女王様の後に続きました。
「ここよ」
と、女王様が部屋のドアを開け中へ入ります。するとそこには見知らぬ女性が3人いました。


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