結局それは、僕が男として足りていないという事じゃないか…
そう思ったのですが、口ごたえするわけにもいかず、黙って彼女の告白を聞いていました。
やがて彼女がひとしきり話し終えると、「そういうわけだから、今後も貴方の知らない男性達と寝るし、外泊もする。
家事を手抜きするわけではないから、そこは安心してね。
離婚したければしていいからね。私自身も、貴方との関係をこのままにしておいて良いのか正直なところわからないし…。」
と。
様々な感情が胸中に渦巻きました。
確かに妻は僕と寝る時、淡泊でしたし…というか、妻優位で事が進んでいて、妻が乱れているのを一度も見たことがありません。
初夜ですら妻は呼吸ひとつ乱していませんでした、アンアンと声を出してくれてはいましたが…あれも演技だったのでしょう。
僕が犬となってからは、アンアンすらなくなっていましたし…
単に疲れているだけだと思っていましたが、そういう訳ではなかったようです。

それでも僕に離婚という選択肢はありませんでした。
勿論世間体もありますけど、本能的に、彼女を失いたくない。
そう思ったんです。
もしかしたら心のどこかで、夫婦の関係を修復出来るのでは、もっと良いものに出来るのではないか…
と、期待していたのかもしれません。
僕は妻に、離婚するつもりはない事、 妻の望みは聞くからこれからも一緒に居て欲しい事などを伝えました。
すると妻から提案がありました。
「それじゃあ、私がどんな風に彼らと寝てるのか、見ておいてくれる?
これから先もずっと一緒にいるなら、全てを知っておかなければいけないと思うの。
見て、それでも一緒に居たいと思うのならば良いし、そうでないならば無理せず、別れましょう。」
確かに一理あります、これから先も一緒に居るのならば、妻の全てを受け入れられるようにならなければならない…。
僕は妻の提案を呑んで、妻に声を掛けた男達と妻が寝るのを見ることになったのです。



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