とあるM男性からよせられた体験談をご紹介します。
彼は自分が「M男」としての自覚をし、受け入れることがかなうと、そこからは開発を進めていったそうです。もちろん一筋縄ではいかず、それなりの時間も掛かったようですが、それにより自己理解を深め、人間関係や自分自身に対する見方が根本的に変わったとのことでした。
自分のM性を受け入れることに戸惑っている方、もしかしてと感じている方には、なんとも心強い体験談になると思います。
では改めて、彼……アキラさんの体験を語っていただきましょう。
M男性 アキラ氏の告白
自己発見の始まり
最初に自分が「M的」な傾向があることに気づいたのは、思春期の頃でした。当時はインターネットが普及し始め、さまざまな情報にアクセスできるようになった時代です。私は普通の恋愛や性的な好奇心と同じように、少しずつ BDSM に関心を持ち始めました。しかし、その時は自分の感じていることが何なのか、どのように理解すべきかまではわかりませんでした。
私が感じたのは、従来の「男性性」や「強さ」に自分がなじんでいないという違和感でした。周りの男性は、力や支配、リーダーシップを重要視していましたが、私はむしろ逆の立場――他者に対する服従や献身に強く惹かれていました。そんな自分がどこか変だと感じ、当時はその感情を抑えようとしていました。
初めての実践的な体験
大学時代に入って、私はBDSMに関する情報をさらに調べ、理解を深めていきました。自分がM性を持っていることを認めたのはこの頃です。それでも、実際にその感情を外に出して表現することには抵抗がありました。社会的な偏見や、M男性としての自分に対する葛藤がまだ強く残っていたからです。
そのため、初めて実際にパートナーとの関係で自分のM的な側面を試したのは、20代後半になってからでした。そのパートナーは、私が自分の性癖について話すことに非常に理解があり、支えとなってくれました。この時、自分を受け入れることがどれほど重要かを強く実感しました。M男性としての自分の欲望を相手に伝え、尊重される経験は非常に解放的でした。
初めてのセッションでは、緊張と期待が入り混じっていました。相手に自分を完全に預け、指示に従うことがどれほど満足感を与えてくれるのかを知り、そこで得られる感情は予想以上でした。まるで、長い間抑えてきた本来の自分が、やっと自由になれた瞬間だったのです。
内なる葛藤と社会的な期待
一方で、M男性としての自分を受け入れることは、社会的な視点や男性性に対する固定観念とどう向き合うかという課題にも直面しました。男性は一般的に「強い」「支配的であるべき」というステレオタイプがあるため、自分がその枠に当てはまらないことに対するプレッシャーは非常に大きかったです。友人や家族との日常の会話の中で、自分の性癖を隠さなければならないと感じる場面も多々ありました。
特に、日本社会では性に関する話題はタブー視されがちです。M男性としてのアイデンティティを公然と話せる場はほとんどなく、むしろそれを隠さなければならないという圧力を感じることも少なくありませんでした。このような社会的な制約の中で、自分をどう表現し、どう受容していくかは非常に悩ましいものでした。
パートナーとの成長
長期的なパートナーとの関係を築く中で、私は少しずつM男性としての自分に自信を持つようになりました。相手とのコミュニケーションが鍵であり、自分の欲望や境界をオープンに話し合うことで、より深い絆が生まれました。また、相手も私のM性を尊重し、逆にそのことが彼女にとっても満足感を与えることがあると知ることで、自己受容は進んでいきました。
私が学んだ最も重要な教訓の一つは、M男性としての欲望は決して「弱さ」ではないということです。それは、むしろ感受性が豊かで、相手に対して深い信頼と献身を持っていることを示しています。社会が描く「理想の男性像」にとらわれすぎると、自己を否定しがちですが、実際には男性のあり方は一つではなく、多様であるべきなのです。
自分を開発し続ける
「M男性」としての開発は、一度の経験で終わるものではなく、人生を通じて続くプロセスです。私は日々自分の欲望や限界、そしてそれをパートナーとどう共有するかを考え続けています。時には新しい感覚やプレイを試すことで、自分の中にまだ気づいていなかった側面を発見することもあります。
また、M男性としての自分を受け入れることで、他者に対する理解や共感の力が強まったとも感じています。支配と服従のダイナミクスを経験することで、相手の立場や感情に対する洞察力が増し、人間関係全般においてもより良いコミュニケーションが取れるようになったのです。
結論に寄せて
私の「M男性」としての開発は、単なる性的な自己発見ではなく、自己理解と成長の過程でした。社会的な期待や固定観念に縛られず、自分の本質を受け入れることは容易ではありませんでしたが、そこにこそ本当の自由があると感じています。私にとってのM性は、自分自身を深く理解し、他者との関係をより豊かにするための鍵であり、その探求は今後も続いていくでしょう。
男性としての生き方は一つではなく、M男性としての生き方もまた豊かで充実したものです。自分を正直に受け入れることで、真の自己成長と満足感を得られることを、私は強く信じています。
アキラ氏 簡易プロフィール
氏名:アキラ(仮名)
年齢:40歳前後
職業:金融関係
長期的パートナーとなった女性とそのまま結婚。
現在は子供は居ないものの、仕事も精力的にこなし、かつ妻との関係も良好とのこと。